
「MRI検査を受けることになったけれど、銀歯があっても大丈夫?」と不安に感じる方は少なくありません。MRIは強い磁石を使う検査のため、金属である銀歯が反応してしまうのではないかと心配になりますよね。結論からお伝えすると、日本で一般的に使われている銀歯であれば、MRI検査は基本的に問題なく受けられるとされています。この記事では、銀歯がMRIに与える影響、注意が必要な入れ歯や矯正装置、検査前に確認しておきたいポイントを順番に解説します。
銀歯があってもMRI検査は基本的に受けられます
MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使って体の内部を撮影する検査です。放射線を使わないため被ばくの心配がない一方、磁石に引き寄せられる金属(磁性体)を身につけたまま検査室に入ると、金属が動いたり画像が乱れたりするおそれがあります。ヘアピンや時計を外すよう求められるのはこのためです。
では口の中の銀歯はどうかというと、日本の保険診療で使われる銀歯の多くは「金銀パラジウム合金」という材質で、磁石に強く反応しない金属(非磁性体)に分類されます。そのため、銀歯が磁力で引っ張られて外れたり、体に危険が及んだりする可能性は低いと考えられており、銀歯があることを理由にMRI検査自体を断られるケースはまれです。実際、多くの方が銀歯のあるまま普段どおり検査を受けているのが実情です。
ただし「まったく影響がない」と言い切れるわけではなく、画像への影響や、注意が必要な歯科材料も一部あります。次の項目から具体的に見ていきます。
銀歯がMRI検査に与える影響

銀歯があってもMRI検査は受けられますが、知っておきたいポイントとして「画像の乱れ」「検査中の熱の感じ方」「撮影する部位による違い」の3点です。どれも仕組みを知っておけば、必要以上に怖がることはありません。
画像の乱れ(アーチファクト)が起こることがある
金属の周囲では磁場が乱れるため、銀歯の近くの画像が黒く抜けたり、ゆがんで写ったりすることがあります。このような画像の乱れを「アーチファクト」と呼びます。銀歯そのものが危険なわけではなく、あくまで「写真がきれいに撮れない範囲が出る」という影響です。どの程度問題になるかは、銀歯の位置と撮影したい場所の距離によって変わります。
発熱・痛みが起こる可能性はごくわずか
「MRI中に銀歯が熱くなって痛い思いをするのでは」と心配される方もいらっしゃいます。MRIの電磁波によって金属がわずかに温まる可能性は理論上ありますが、銀歯のような小さな金属で、やけどや強い痛みにつながるケースはほとんど報告されていません。
実際には、痛みよりも「口の中が少し温かく感じた」程度の感覚にとどまることが大半です。万が一、検査中に口の中の違和感や熱さを感じた場合は、遠慮せずその場で検査技師に伝えてください。MRIには検査中に合図を送るためのブザーが用意されています。
撮影する部位によって影響の大きさは変わる
銀歯の影響が問題になるのは、主に口に近い範囲を撮影するときです。頭部・脳・あご・首などの撮影では、アーチファクトが診断の妨げになる可能性があります。一方、腰・ひざ・肩など口から離れた部位の撮影であれば、銀歯が画像に影響することはほとんどありません。
「銀歯があるから」とMRIをためらう必要はなく、撮影部位と銀歯の位置関係によって影響の程度が変わることを知っておくと安心です。
MRI検査で注意が必要な歯の装置・詰め物
一般的な銀歯は心配が少ない一方で、口の中の装置の種類によっては、検査前に必ず申告しておきたいものがあります。ご自身やご家族に当てはまるものがないか確認してみてください。
磁石で固定するタイプの入れ歯(磁性アタッチメント)
入れ歯の中には、歯の根に取り付けた金属と入れ歯側の磁石を吸着させて固定する「磁性アタッチメント」というタイプがあります。この装置には磁石が使われているため、MRIの強い磁場によって磁力が弱まったり、画像が大きく乱れたりするおそれがあります。
磁石式の入れ歯を使っている方は、検査前に必ず医療機関へ申告してください。入れ歯本体は取り外せますが、歯の根側に磁性の金属が残っている場合があるため、自己判断せず歯科医院と検査を行う医療機関の両方に確認しておくと確実です。
なお、一般的な入れ歯でも、バネや土台部分に磁性を帯びる金属(コバルトクロム合金など)が使われていることがあります。こちらは取り外しができるため、検査前に外しておけば心配いりません。
矯正装置(ワイヤー・ブラケット)
歯列矯正で使うワイヤーやブラケットには、ステンレスなど磁性を帯びる金属が使われていることがあります。体への危険は少ないとされていますが、頭部撮影では画像の乱れが大きくなりやすく、撮影の目的によっては装置の一時的な取り外しを求められる場合もあります。
矯正治療中にMRI検査を受けることになったら、まず検査を行う医療機関に装置の存在を伝えます。取り外しの要否など対応に迷うときは、矯正を担当している歯科医院が相談窓口になります。
古い銀歯・材質の分からない詰め物
ずいぶん前に入れた銀歯や、他院で治療した詰め物・被せ物は、材質が分からないことも多いものです。現在主流の金銀パラジウム合金であれば心配は少ないのですが、古い時代の詰め物・被せ物や海外で受けた治療では、異なる合金が使われている可能性も否定できません。
材質が分からない場合は、治療を受けた歯科医院に問い合わせるか、かかりつけの歯科医院で口の中を確認してもらう方法があります。当院でも、MRI検査を控えた患者様のお口の金属について、分かる範囲で確認・ご説明が可能ですので、不安な方はご相談ください。
金歯・セラミック・インプラントはMRIに影響する?
銀歯以外の詰め物・被せ物についても、MRIとの関係を整理しておきます。
金歯(ゴールドの詰め物・被せ物)は磁石に反応しにくい金属のため、銀歯と同様にMRI検査への影響は少ないとされています。セラミックやレジン(歯科用プラスチック)は金属を含まないため、磁場の影響を受けず、画像の乱れもほとんど起こりません。また、銀色の被せ物の中には金銀パラジウム合金ではなくチタンで作られたものもあります。チタンも磁石にほとんど反応しないため、この場合も過度に心配する必要はありません。
インプラントについては「金属を骨に埋めているのだからMRIは受けられないのでは」と心配される方が多いのですが、インプラント体の材質は主にチタンです。磁石にほとんど反応しない金属のため、一般的なインプラントが入っていてもMRI検査は問題なく受けられます。ただし、インプラントで磁石式の入れ歯を固定している場合(磁性アタッチメント併用)は、前述のとおり注意が必要です。固定方法が分からない方は、治療を受けた歯科医院に確認しておくと確実です。
MRI検査前に確認・準備しておきたいこと
銀歯やインプラントがあっても、事前の準備をしておけばMRI検査は落ち着いて受けられます。検査前に確認しておきたいポイントは次のとおりです。
- 問診票に、銀歯・入れ歯・矯正装置・インプラントの有無を正確に記入する
- 磁石式の入れ歯を使っている場合は、必ず口頭でも申告する
- 取り外せる入れ歯やマウスピースは、検査前に外しておく
- 詰め物・被せ物の材質が分からない場合は、事前に歯科医院で確認しておく
申告した内容をもとに、検査を行う医療機関が撮影の可否や方法を判断します。金属の位置が事前に分かっていれば、画像の乱れを見込んで撮影条件を調整するなどの対応も検討してもらえます。「銀歯くらいなら書かなくていいだろう」と省略せず、口の中の状態はありのままに伝えてください。歯科治療の記録が残っていれば、材質の確認は難しくありません。検査の予定が決まった時点で早めに準備しておくと、当日に慌てずに済みます。
よくある質問
銀歯とMRI検査について、患者様からよくいただく質問にお答えします。
銀歯が原因でMRI検査が中止になることはありますか?
一般的な銀歯(金銀パラジウム合金)が原因で検査自体が中止になることは、ほとんどありません。ただし、撮影したい部位のすぐ近くに金属があり画像の乱れで診断が難しいと判断された場合には、撮影方法の変更やCTなど別の検査を提案されることがあります。判断は検査を行う医療機関が行うため、患者様の側で必要なのは正確な申告だけです。
銀歯をセラミックに変えれば、MRIへの影響はなくなりますか?
セラミックは金属を含まないため、置き換えた部分については画像の乱れが起こらなくなります。ただし、MRIのためだけに急いで銀歯を外す必要はありません。まずは予定されている検査を優先してください。そのうえで、今後もMRI検査を定期的に受ける予定がある方や、金属アレルギーが気になる方にとっては、金属を使わない素材への置き換えが選択肢の1つです。セラミックへの交換は多くの場合、保険がきかない自由診療(全額自己負担)となり、費用は素材や歯の状態によって変わります。割れ・欠けが起こる可能性などの注意点もあるため、当院では口腔内を確認したうえで治療内容・費用・リスクをご説明しています。
差し歯や歯の土台の金属も申告が必要ですか?
差し歯(被せ物)や、歯の根に立てた金属の土台も、問診票には記入しておきましょう。多くは銀歯と同じく影響の少ない材質ですが、申告しておくことで検査側が画像への影響をあらかじめ想定でき、撮影がスムーズに進みます。
福島市で銀歯やお口の金属が気になる方はひぐち歯科医院へ
銀歯があってもMRI検査は基本的に受けられますが、磁石式の入れ歯や材質の分からない詰め物がある場合は、事前の確認が欠かせません。ひぐち歯科医院では、お口の中の金属の確認はもちろん、金属を使わない素材への置き換えや、チタン製インプラントによる治療のご相談にも対応しています。土曜日も診療しており、24時間WEB予約が可能です。福島市で銀歯や詰め物・被せ物にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

